日記

色々考えた最終出勤日

おかやん

土曜日。最後のお仕事

出勤したら、木曜まで一緒に仕事していた人が辞めたと聞いた。

この週、水曜日に異動前の営業の男性が退職し(ウチより2日早く入社した人)、

木曜に同じ課の営業の男性が退職し(ウチより2週間早く入社した人)、

1日空いて(祝日だから)、土曜にウチが退職することになっていた。

そんな状況でも、フロアには怒鳴り声が響く。

この3週間、ウチはずっと不思議やった。

なんでこんなにも、この会社は居心地が悪いんやろう? って。


ウチは考えることそのものが好きだから。

せっかくだから、この会社のブラックたる原因を見極めてみようと思った。

最後だからこそ、見えてくるものがあるかもしれないし。

土曜は外線電話が鳴らないし、他の会社はだいたい休みやから、急ぎの受注もない。

そんな一日の中で、ウチが思ったことを書きたい。

ひとりひとりと向き合ってみた

こんな短い期間で辞めることになったとしても、ウチは自分なりにスジを通したかった。

だからウチはお昼休憩に、買ってきたお菓子を配りながらひとりひとりに挨拶をして回った。

「私、ここでのお仕事、今日までなんです!」

と、自分の口で伝えながら、餞別を渡していく。

ただそれだけやのに面白いもので、今まで心に鍵をかけてた人も、態度がツンケンしていた人も、少し態度が軟化した。

「え? あ。ああ……ありがとう……」

戸惑いも多いけど、みんな顔を見てお礼を言ってくれる。

人によっては

「この会社は癖が強いやろう?」

と言って呆れたように肩をすくめる人もいれば、

「……うん。早く辞めて正解だと思うよ」 や、

「仕事はここだけじゃないですから」 とか、

「それがいいよね」 などなど、

ウチの決断に対して肯定的やった。

短い時間とはいえ、こんなに早く退職するウチを

「裏切り者」

と思われてるかもと、戦々恐々としていたのに。

だけどみな、ちゃんと人間らしい人間やった。

異動前のモラハラ・パワハラ教育係だって、

「厳しくして悪かったなぁ」

と、面と向かって謝ってくれた。

ウチは初めて、

「(ああ、みんな悪い人じゃなかったんやなぁ……)」

と気付いた。

向き合ってみたら、ひとりひとりは普通の人やった。

実はいい人もいっぱいいたのだ。

それが知れただけでも、この日は大きな学びを得た。




「ブラック」ってなんだろう?

誰もが柔らかい態度に変化する中、

でもたった一人だけ、

真逆の反応をした人がいた。

社長の側で仕事をしている、おばちゃん秘書さんだ。

その人はお礼も言わず、

ウチの顔すら一瞥することなく、

ただ菓子だけを受け取った。


そしてその菓子を社長へ渡そうとする。

「はい、社長」

と言って、回されたウチの餞別。

けれど社長はすぐ近くにあるそれを受け取ることなく、しわがれた声で言う。

「いや。おかやんから直接もらうわ」

そして、ウチが直接差し出した方の菓子を手を伸ばして受け取った。

「おう。ありがとうな」

怒りも落胆もない普通のテンションで社長は一言、お礼を言った。

その秘書さんからでなく、わざわざウチから受け取ってくれたことがとても嬉しかった。

あと、ちゃんと顔を見ながらお礼を言ったことに、社長としての器を感じた。

結局最後まで、そのおばちゃん秘書さんとは目が合わなかった。


意図的に見ないようにしているのは明らかやった。

「私は怒っているんだぞ」

という雰囲気がありありと感じ取れた。

違うとは思うけど、この理由が「同性だから」だったら悲しいなぁ。

でも、往々にして動物は「異性に甘くなる」という性質を持っていると思うから何とも言えない。

自分にも他人にも厳しい人やとは思うけど。

会社の面接時、あれほど気さくに、明るく、ウチとお話してくれた面接官なのに。

その時に楽しく会話したおばちゃんと同一人物は思えない。

帰り際。

ウチが最後の日報を提出した時、ウチは社長とその秘書さんに最後の挨拶をした。

「ありがとうございました!」

すると秘書のおばちゃんは、ウチを見もしないで言う。

「はい。さようなら」

吐き捨てるように言ったようにも聞こえた。

だのに、ウチにはなんとなく、

「頑張ってな」

と聞こえた気がして。(……まぁ、そう思いたいだけかもしれないけど)

でもこの瞬間、ウチはこの人から「なんらかの期待」をされていたのかもな、と思った。

知らんけど(笑)

まぁ……長く勤めていればそういう可能性もあったかもしれんな……うん。


イライラが充満した職場

ウチが辞めるからとか関係なく、でもやっぱりみんなどこかイライラしている。

入社してから、ウチはずっと考えていた。

「なんでイライラしているんやろう?」

ウチはどこかにそれをバラまく悪人がいるからやと思っていた。

でも、最後にひとりひとりと向き合ってみたら、根っから悪い人って居なかったんよね。

怒鳴る社長も。

怒るおばちゃん秘書も。

見て見ぬふりして仕事してる上司も。

頭ごなしに叱る口の悪い教育係も。

舌打ちする社員も。

本当の意味で「悪人!」って思える人はいなかった。

むしろ、会社を存続するために必死なんやなって気付いた。

じゃあ、この会社に確かに横たわっている「悪」ってなんやろう?

ウチなりにめっちゃ考えた。

「ブラック企業」にしているモノ

そこは歴史のある会社で。

その業界でも確固たる地位があって、そしてそれはこの先もずっと揺らぎそうにないな、と、この短い期間でも感じた。

会社として倒産する心配はきっとない。

でも、人が残らない懸念はあるかもしれない。

少なくともウチの見立てでは、新入社員が4人入って1ヶ月足らずで3人辞めたこの現状を、あの会社は問題視はしても、改善はしないように思うから。

そして、怒っている言葉の内容に耳を傾けてみると、いつも同じことで怒鳴っていることに気付いた。

「◯◯円の損失やで!!」

そして、営業事務として売り上げを入力していて思った。

「(単価が……えらい安いな)」

なんとなくやけど、すべての原因はお金にあるんじゃないかな?

だから時間も仕事も余裕がない。

それがこの会社をブラックにしているんじゃないかなぁ、と。

人以外に原因を探すなら、ウチにはそれぐらいしか思いつかん(笑)

個人でも会社でも、お金がないことが人間を変えてしまうんじゃないかと……



「頑張る」ということ

1日を終えてたら、いろんな人が最後に

「頑張ってな!」

って声を掛けてくれた。

嬉しかった。

本当に悪い人はいなかったんやなぁと思った。

でも働き続けたらどこかで限界を迎える可能性のある会社やった。

社風が「ああ」でなければ、せめて1年は普通に働けたかもなぁと考えてしまう。

でもこれも縁。

ウチには次の世界で頑張っていこうと思う。

いろんな人が応援してくれたように、ここから頑張っていこうと思う。

それでいい。

正直「派遣」ってめちゃくちゃ不安定やなって思ってる。

リスクを知れば知るほどに怖いように思う。

母の憂慮の一端を感じると、さすがに不安に駆られる。

でもこれが、ウチの本当にやりたいこと。

この経験も自分の糧にして、この道を後悔のないように進んでいきたい。





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  1. 福子

    お金は、命や時間と似てるもの。
    人は自分の時間(命)を仕事に費やして、その代替としてお金を手に入れる……。
    だからお金が厳しいと言うのなら、それは常に時間や命をおびやかされてるようなものかも?
    上手く言えないけど、せめて人間関係に余裕があればもう少し居心地が良かったのかもね。
    仕事が厳しくても人間関係がスムーズならば、仕事もうまくいくし、そうするとお金もうまく稼げるんじゃないかと。
    ギスギスしてる職場では、働きたくないですね。

    • おかやん

      福子さん! コメントありがとうございます。
      そうですね、お金と時間って確かに似てる。
      余裕って大事やなぁと思います。
      福子さんの言う「せめて人間関係がスムーズだったなら」、ウチもきっと、もう少しは働いていたと思います。
      仕事って仕事内容じゃなくて、つくづく人で決まりますよね。
      同調して下さり、ありがとうございます。
      私なりに次は色々考えて、頑張ろうと思います。
      ありがとうございます!!

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アラフォー主婦のノンフィクション雑記ブログ
21歳で駆け落ちした経歴を持つ、現在39歳の未亡人です。 このブログが多くの人に読まれ、亡くなった夫のことを私以外の誰かにも知って欲しい。
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