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その場での部署異動
日記

その場での部署異動

おかやん

初の土曜出勤

ウチが就職した会社は年間休日110日で、有給でプラス5日は使わないといけないという規定になっている。

基本週休二日ということで、祝日がある週は土曜出勤となっている。

ちなみに会社の休みカレンダーは存在しない。(←まずこれにびっくりした)

2月12日の月曜が建国記念日の振替休日やったから、ウチはその日、オススメされた縁切り神社へ行ってきた。

小説家仲間に「京都のその縁切り神社はかなり効果あるから!」って教えてもらってな。

鬼行動力に自信のあるウチは教えてもらったその瞬間に「じゃあ明日行ってくる―」っと言って、月曜にお詣りに行ったんよね。

月曜休みやったから、土曜出勤という。

でも、土曜って外線電話鳴らんし、営業も営業しに行かんでええから社内におるしで、終日のんびりしてたんよね。

だから、その日をチャンスとウチが仕事について理解を深めたくて、違う部署に教えを乞いに行ったんよ。

それが、機転となったわけやが。

土曜の朝、ウチは教育係(おっさん)と一緒に仕事してた。

相変わらずカリカリしてて、小さなミスにも怒鳴り散らす。

「なんでここちゃんと入れてへんねんなぁ! 言うたやろが!!」

「すいません!! 入れ忘れてました!!」

「ちゃんと自分のメモにも書いてあるやろ! なんで忘れんねん!!」

「すいません!!」

とまぁ、こんなやりとりは日常茶飯事やな。

でも、その日の朝はそれだけじゃなく、こんなこともあった。

「なんでこれやってへんねんな! やってって言うたやろが!!」

「え。言いましたっけ??」

「聞いてへんのんかいな! 言うたやろ!!」

「いつですか? 私、その指示受けたとき返事しました?」

「…………」

「すみません。いつその指示をもらったか、覚えてなくて」

「お前が○○案件してるときに『追加でこれもやって』って言うたで!」

「はぁ。すみません。覚えていません」

「まったくもうっ!! 出来へんなら先言えや!!」

「でも覚えていないので」

とまぁこんな具合ですわ(笑)

このやり取り、わりと普通ってか、まぁ前日の金曜も似たようなことあったんよなぁ。

ウチが教育係に確認取って仕事したことがミスってたり。

とにかくまともに教わってなくてウチも仕事出来ないし、こんな調子やから聞ける雰囲気でもないし、勝手にやったら怒られるし、でも質問しても「いっぺんに一つも二つも出来るかいな!!」って言われて放置されるし。

違う部署で分からんことを自分から聞くしかなかった。

ちなみに確認をお願いして間違ってた時もウチが怒鳴られる。

「なんでここちゃんと入れてへんねん!」

「入れ忘れました!」

「言われたこと、一回でちゃんとやれや!!」

「すみません!!」

確認し忘れたのがたとえ教育係でも、怒鳴られるのは基本ウチですわ(笑)

一つのミスも許されない。

完璧に入力出来て当たり前。

そんな状態なもんで、そうあるべく自分の仕事の理解を自分から深めるため、同じような仕事をしている一課の方へ質問しに行ったんよね。

土曜という余裕のあるやっ曜日やったから。

それがまた良かったんやけど。


ちょっと話は逸れるけど、いつもは営業に出ててデスクにいない新入社員さん(50代くらいの男性)が、土曜やから同じ空間におったんよね。

その人と「大変でしょう?」って話しかけたら、周りに人がいないことを確認して、すすす、と近づいてきてウチに言うたんよね。

「これ、秘密なんですけどボク……もうこの会社辞めようと思ってます。だってここ……ブラックすぎません……?」

「(………コク)」

やはりそうなのか、と思ったね。

そしてウチも同じように声をひそめて言う。

「私もそのつもりです。ただ私の場合、再就職手当がどうしても欲しいので、そこまではいるつもりですが」

「あぁ、そうですか。ボクはもう耐えられません。昨日出張で帰って来たの八時ですよ。そこから会社に戻るって……ボク『絶対嫌だ』と思ってそのまま帰りましたよ。嫁にももう話してあります。今月の26日(給料日)になったら言います」

どんだけ絶望してんねん……まぁ気持ちわかるわ、ってなった。

ウチも正直、自分よう耐えてるな、まぁ金のためやもんな、ってなったけど(笑)

「縁があって入社したって思ってましたけど……もうそんな風にも思いたくないです。ここ、ありえないですわ……」

営業として今まで別会社で頑張って来たらしいけど、その中でもこの会社はヤバいらしい。

社員を大事にしてない。使い潰されるのが目に浮かぶ、って言ってたなぁ。

ウチも入社二日目にして、同じこと思ったんやけど。

その人の選択は正しいと思う。

誰かが戻ってきて、ウチらは「じゃあお互い、その方向性で」「はい。その方向で」と、頷き合ってそれぞれの仕事に戻った。

そんな一コマがあった。


話を戻すけど。

とにかく、ウチはもっと仕事覚えたかったから、上司(営業二課の課長?)の「そしたら他の仕事も見てみようか」っという言葉を頼りに、土曜日の昼からその人についていった。

「じゃあ好きなだけ聞きたいこと聞いといで。あるなら今の悩みとか」と一課に連れていかれて、放り出された。(これも親切なのか酷いのか、正直良く分からん扱い……)

そこで聞きたいことをとにかく聞きまくって、ある程度流れについて理解出来た。

そこであまり長居しても迷惑になるかと思って、お暇する前に、どうしてもこれだけは言うておこうって思ったことを伝えた。

「2週間、二課で仕事していますけど、梱包の仕方がほとんど分かりません。状況的に教育係には聞けそうもないし、自分でするにはあまりに知識が足りないので、どうか教えてください。梱包に関して、現状ではまともに仕事がどうしてもできないのです」

すがるように言った。

ちょうどそのタイミングでたまたま、ウチの上司がその一課に戻ってきたらしい。

ウチに教えていた偉いおっちゃん(役職を知らない)がその人に向かってこう言った。

「おい。二課では何教えてんねん。仕事分からん過ぎてこの子焦っとるがな」

この時、ウチ

「あ。今や」

って思ったんよな。

こみ上げてくるこの悲しみや苦しみをグッと我慢することも出来たけど、この状況で解放しといた方がのちのちの自分のためになるな、と。

この瞬間、悟った。

だから、思いっ切り泣いてやった。

まともにしゃべれないくらい痛々しく、たどたどしく、嗚咽の止まらない泣き方を、大勢の人がいる前でかました。

決して嘘ではない。

でも計算がなかったわけもない。

「わた、わたし、お、怒られて、ばか、り、で! したくでも、で、き、なくてぇ! すみ、すみません!! ちゃんと、しごと、でき、な、て、ごめ、なさっ……!」

うわずる声に、しゃくりあげながら、必死に紡がれる言葉。

とても計算には聞こえなかっただろう。

ここまでどうにか頑張って来たけど、ついには耐えきれず、堰を切るようにとうとう泣いてしまった。

そんなふうに思えたに違いない。

休日出勤で、皆仕事に余裕があって、2週間という新人としても説得力のあるキリのいい状況。

ウチは「ここぞ!」という一番いいタイミングで、

自分が持っている中で一番強いカードを、

権力者が一番集まって仕事している最上の場で出すことに成功した。

何度も言うけど、計算はあったが、嘘ではない。

そしてウチはその場で部署異動が決まった。

自分が女で良かった、と、この時ほど感謝したことはない。

男性があんな風に泣いたところで、きっと事態は好転しないだろうと思う。

そんな経緯があって、明日からウチはあの教育係の下で仕事しないでよくなった。

権力者の言葉の重さを知ると同時に、この方法を伝授してくれた夫に感謝した。

ウチにこの「泣く」という切り札を教えてくれたのは夫や。

昔も似たような上司の下で似たようなことがあって、その時はトイレでひっそり泣いた。

それを家で夫に報告した時、

「そういう時は人前で思いっ切り泣いてやれ。その方が相手には効く。見てる奴は見てるし、分かってる奴にはちゃんと伝わる。影で泣くな。その相手を『キャン』て言わせたいんやったら、周りの人間を味方につけろ」

こうやって、あの人の教えが自分の中で息づいていることに喜びを感じる。

ああ、ウチは本当に、あの人を愛して良かった。

樹木希林さんの本に書いてあった一文が思い出される。

「死ぬことは人の中に生きるということ。自分の中に、逝った人を生かし続けるということ」

あの人の教えはこうやってウチの中で生かされて、ウチを助けてくれている。

その事実がウチにはなにより嬉しかった。


でも、最後に思うのは、

「あの縁切り神社マジすげー」

やった(笑)





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アラフォー主婦のノンフィクション雑記ブログ
21歳で駆け落ちした経歴を持つ、現在39歳の未亡人です。 このブログが多くの人に読まれ、亡くなった夫のことを私以外の誰かにも知って欲しい。
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